緋色の刻印 第四話

「たき…」

 草加の甘い声が耳を擽る。

 滝の頭を包み込むように腕を回し、濡れた唇を僅かに開く。

 白い歯と赤い舌に誘われるまま、滝は口付けた。

 唇の隙間から差し入れた舌が、草加の舌を捕らえる。深く絡めて吸い上げると、草加からくぐもった声が零れた。

「ん……」

 何度も角度を変えて深く貪る。

 柔らかな唇と熱い舌の感触が気持ち良い。

 体中に血が巡っていくのを感じた。

 熱い。

 唇を離すと滝は草加の浴衣から帯を抜き取り大きくはだけた。
 と同時に、帯を解き、浴衣を脱ぐと後ろに放り投げる。

 浴衣はパサリと音を立てて床に落ちた。

「あ……」

 草加が目を細める。

 唇の端から口付けの名残りのような透明の液が零れた。

「草加…」

 ゴクリと滝は息を飲んだ。いつもと場所が違うからか?それとも久しぶりなせいなのか?
 いつになく草加が色っぽく感じる。

 草加は上体を起こすと滝の首筋に唇を寄せた。

 そして首の付け根に甘く歯を立てる。

「まるで吸血鬼だな」

 滝が笑ってそういうと、草加は僅かに赤くなったそこを舌でペロリと舐めた。

「俺が吸血鬼なら、お前もそうだな」

 首筋に顔を埋めたまま、草加がそそう言って笑う。それから滝の耳朶に唇を移動させると、甘く歯噛みした。

「たき…」

 草加の腕が再び滝の背に回される。

 いつになく積極的で妖艶な草加に滝は本当に取り込まれそうだ、と呟いて、濡れた唇に口付けた。

「ん…」

 草加の白い肌に唇を寄せる。胸に赤い花びらを咲かせながら、滝はそのなだらかな肌を味わう。

 乳首を飴のように舌で転がすと、草加の体がビクンと跳ね上がった。

「ああ…」

 舌が触れる度、白い胸がヒクヒクと震える。

 すでに草加のペニスは熱く高ぶり、透明な蜜を零していた。

 触れるとビクンと体を震わせる。

「あ…た…き……」

 指を濡らすそれを滝は上下に激しく扱いた。

「あ…だめ……」

 瞬く間に限界へと誘われ、草加のペニスが切なげに揺れた。

 先端の敏感な所に爪を立てと蜜がよりいっそう溢れ出す。

「あ…も…」

 限界とばかりに草加は滝の肩を掴んだ。

「ああ……」

 激しく扱かれて、滝の手の中であっけなく欲望を解放させる。

 草加は「はあ…」と熱く甘い息を漏らした。

 欲望を解放させぼんやりとしている草加の両足を大きく開く。それから先ほど草加の放ったものを指で救い、双丘の向こうに色づいている蕾の入り口に塗リ込む。蕾は指に驚いたように一瞬キュッと硬く閉ざしたが、すぐに道を開き、指の先を飲み込もうとするように蠢いた。

 指を一本突き入れてみる。

 草加の内は相変わらずの熱さで、濡れてしっとりとしていた。

「ああ…」

 受け入れることに慣れたそこは、いつもとは違う質量のものを不満げに締め付ける。

「ちょっと待っていろ」

 滝はそう言うと小さく笑った。

 指を増やし、更に奥へ解きほぐすように蠢く。

「あ…あ、あ……」

 濡れた音が妙に部屋に響いているような気がした。

 何度かそこを擦り上げ、滝はゆっくりと草加の内から指を抜いた。

「あ…たき……」

 とろとろに溶け出しているそこに、滝はさらに指をもう一本増した。

「ああ…」

 敏感な前立腺を中心に内が掻き乱される。

 それから勢い良く指を抜いて、草加の両足を肩に掛けると、指の代わりに自身の高ぶりを押し当てた。

「草加」

 草加がコクリと頷く。

 それを確認して、滝はゆっくりと欲望を色づく蕾の中へ押し進めた。

「ああ……」

 声が上がる。

 草加の反り返った喉に滝は唇を寄せ、甘く歯を立てた。

「あ、あ、あ、あ」 

 熱くしっとりとした内壁を抉るように更に奥へと貫く。途中、草加の良い所を何度も突きあげると甘い声があがる。

「た…き……」

 草加が限界とばかりに肩を掴む指に力をこめた。

「ああ…」

 ペロリと滝は上唇を舐めて、強く腰を打ちつけた。

「あ……」

 最奥で滝の欲望が解き放たれる。同時に草加の体もビクビクと痙攣し、白濁の液を散らした。

 窓を打つ雨の音が変わる。

 先ほどまでの激しい雨は、時が経つごとに少しずつ和らいでいく。

二人が脱力感にベッドに体を沈める頃には殆ど雨は止んでいた。

 隣で眠る草加に布団を被せ、滝は窓辺に立った。

 水差しの水をコップに注ぎ口に含む。

 先ほど少し眠ったせいか、やけに目が冴えていた。

 外は闇。

 雨が上がり、雲の合間から白色の月が姿を現す。

 ふと、滝は月明かりの下に誰かの影を見たような気がした。



 


三話

五話に続く