「お注射しましょ」by菜沙
※注;エロではありません。
「なあ、雅行。お前さあ、注射を射つ時ってどこ見る?」
士官食堂で、早々に食事を終えた尾栗が唐突にそう言った。
「はあ?」
楽しそうな尾栗の顔に、またくだらないことを仕入れてきたなと
菊池はカレーをすくっていたスプーンを止め眉を寄せる。
「何だ?注射って」
予防接種の予定などなかったハズだが…そう思い首を傾ければ
「違う、違うって。心理テストだよ」
と尾栗が笑ってそう言った。
「な、洋介は?洋介はどこ見る?」
「そういうお前はどこを見るんだ?」
「俺、俺は見ないな。なんか怖いじゃん」
針が入っていくとことか見んの絶対嫌だ、と尾栗は大袈裟に身震いして笑う。
「そうだな…俺は、目かな」
角松は少し考えてそう答えた。
「へ?何それ?」
「いや、別に何となくだが、いつも看護婦を見てるな…と思ってな」
それって、看護婦にしてみればかなり射ち辛い…・・・というかいい迷惑ではないだろうか?と菊池は思う。
菊池は思わずそのシーンを想像して-----。
注射を射つ間中、見つめられる看護婦と見つめる角松。
胸がムカいた。
「ふーんなるほどね。で、雅行は?」
話を自分に戻され、菊池はハッと我に返える。
周囲を見渡せば、何故か他の幹部たちも興味津々とばかりに自分を見ていた。
「俺か?俺は…」
そういえば自分はどうだっただろうか?と考える。
尾栗のように顔を背けたりはしない。
しかし、角松のように看護婦の目を見つめたりも、絶対にしない!
「そうだな、俺は針を見てるかな?」
元々、血管が細くて失敗されることが多かったせいか
何となく針が体に入って、出て行く様子を凝視してしまうことを思い出し
菊池はそう答えた。
「へえ…」
「ほお…」
尾栗と角松が感心したように声を漏らす。
「で、それが一体何だって言うんだ?」
菊池が大真面目に尋ねれば、尾栗がニヤニヤと笑った。
「教えて欲しい?」
「何なんだ、気持ち悪い」
「うわ。気持ち悪いは酷いんじゃないか?」
そんなこと言うんだったもう教えてやんないぞ、とプウっと拗ねたように尾栗が口を尖らせる。
お前は子供か!と思いつつ、菊池は視線を角松に向けた。
「洋介は知っているのか?」
「いや、俺は知らん」
角松はきっぱりとそう言った。
では他はと周囲に視線を向ければ、皆一斉に視線を彷徨わせる。
どうやら知らないのは、自分と角松だけらしいと菊池は悟った。
「で、何なんだ?」
角松が尾栗に問いかける。
促すような角松の視線に、尾栗はやれやれと肩を竦めた。
「ま、知らないのお前らだけだしな」
「だから早く言えと言ってるだろ」
菊池がそう言うと、尾栗はニヤっと笑って……。
「このテストで分かることは、Hの時どこをみるかだってよ」
「いやあ〜雅行積極的だなあ」
尾栗の言葉に菊池は一瞬頭が真っ白になったが、自分の回答と照らし合わせ
カッと顔を赤面させた。
「そうか、なるほどな」
角松が妙に納得した風に頷く。
その姿にその場にいた康平を除く士官は全員顔を赤く染めた。
(へえ…砲雷長ってそうなんだ…)
とその場にいたものの心の声。
刹那、ガタンを椅子を倒しながら、菊池が立ち上がった。
そして、潤んだ瞳で、尾栗と角松の両方を睨みつけて、無言で出て行く。
パタンと扉が閉じた瞬間、
「くう〜雅行可愛いvv」と尾栗
「全く雅行は」
可愛いやつめと角松が呟く。
他の士官の面々も心の中で二人の言葉に同意した。
砲雷可愛すぎです。
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リクエストありがとうございました。
タイトルに騙された方多数?紛らわしくてすみません。
楽しんで頂けれると嬉しいです。
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